2022.10.11
笑いあり、涙あり おもてなしの悪戦苦闘! VOL.116
柳井グランドホテルでは高齢者と車椅子をご利用の方を対象にしたeスポーツ事業の一環としてバリアフリー改装を実施したので、バリアフリー設備のお披露目を兼ねて秋田県で結成された日本初のシニアeスポーツチーム“マタギスナイパーズ”様をお招きして10月30日(日)にeスポーツ教室を開催します。
教える側の秋田県は日本一の高齢県。そして教わる側の山口県は高齢化率全国3位。マタギスナイパーズ様のホームページにこんなことが書いてあります。
「高齢化という言葉のもつマイナスのエネルギーをプラスに転じる方法の一つとして“高齢者が日本一元気な県”を目指そうとマタギスナイパーズのプロジェクトが生まれました。」
素敵だと思われませんか。マタギスナイパーズ様はパソコン、キーボード、マウスを使ってeスポーツをします。
「ここが凄いところなのです!」
実は「eスポーツ」は国によって使用する機材の傾向が違います。早くからeスポーツが浸透している欧米ではパソコンによるオンライン対戦を中心に発展しました。
一方の日本は、家庭用ゲーム機やゲームセンターを中心に発展しました。
これはこの度ホテル業界からeスポーツ業界に参入した私が、2022年にeスポーツ事業を開始して講演会やイベントで業界関係者、医師、教育関係者、学生、高齢者、行政の方に直接会って感じたことですが、日本でeスポーツが外国ほど浸透しない理由の一つに、教育関係者や親の立場からするとeスポーツは「所詮ゲームでしょ」というイメージがあるからだと思うのです。
そしてその原因は、日本では家庭用ゲーム機でプレーする人が圧倒的に多いからだと思うのです。もっと言うと、親は子供が家でいつまでも宿題をせずに家庭用ゲーム機に没頭するイメージがあるからeスポーツの教育的価値が信じてもらえないのです。
そして私が『これがeスポーツの教育的価値。未来につながる可能性だ!』と理解したのが以下の経験です。
柳井地域の学校が起業家甲子園という、学生がビジネスアイデアを競う全国大会に勝ち残り、決勝大会に出場するので当社の会場と通信インフラを貸して欲しいと依頼を頂き、喜んで提供させていただいた時のことです。
彼らはなんと全国優勝を果たしました(総務大臣賞)。これは快挙です。私はそんな優秀な学生が自分が住んでいる地域にいるということを誇らしく思いました。彼らは学校で習ったことをただ暗記して答案用紙に書いたのではなく、自分たちで想像力とデジタルを駆使して新しいビジネスモデルを生み出したのです。
『これだ!』と思いました。
若者がただ楽しいというだけでなく、eスポーツに費やす時間を未来につなげるためにはパソコンでeスポーツをするべきなんだと。さらに私は優勝されたコンピューター部の生徒さんと、その後メールでやり取りをさせて頂き、学生さんから頂いた以下のメールでさらに確信しました。
生徒の皆さんは揃ってこう答えたのです。
「私はeスポーツがきっかけで情報・プログラミングに興味を持ち、この学校に入学しました」
他にもこんな素晴らしいことが今年ありました。
世界コンテスト『NASEF Farmcraft 2022』で山口県の立修館高等専修学校が世界第3位・4位入賞の快挙を達成したのです。
NASEF(北米教育eスポーツ連盟)が米国国務省と共に開催する世界大会『NASEF Farmcraft 2022』は、地球の温暖化による気候変動・人口増加・食料供給量減少・食料価格の上昇から国連事務総長も世界で起こりうると警鐘を鳴らしている「食料危機」に対して、次世代を担う世界の若者たちに自由な発想で解決策を考え、理想の農場を創造してもらうコンテストを開催し世界から68カ国1,152チームが参加しました。
コンテストはマイクロソフトの“マインクラフト”というゲームソフトを使いプログラムを組んでバーチャル空間に“理想の農場”を創造して、自身が作り上げた“理想の農場”を英語でプレゼンテーションするという形式で行われました。
7月に柳井グランドホテルで立修館高等専修学校eスポーツ部様と島根県の益田東高校eスポーツ様に合宿でご利用いただいた際に、私はこの世界コンテストで発表したプレゼンテーションを見学させていただきました。
その後の「Farmcraft(マインクラフト)体験会」では立修館高等専修学校の生徒が講師役となって、益田東高校の生徒にレクチャーしました。優勝した選手達だけでなくeスポーツ部の生徒全員が指導できることは凄いことだと思いました。
eスポーツの先に自己実現を助けてくれるこんな素晴らしい効果があるのなら、親や教師も理解してくれるのではないかと私は思いました。
高校eスポーツの全国大会で採用されているのは、チーム戦のゲームタイトルがほとんどなので、実はコミュニケーション能力も自然と身に付きます。だから引きこもり問題の解消にもeスポーツは役立つ可能性があるのです。
引きこもりの子は部屋で1人でゲームをしているケースが多いと聞きます。高校でeスポーツ部に入部すれば3人対3人、5人対5人等のチーム戦をするようになるで、勝つためには仲間と、
「あなたはあっちを攻めて」
「私はこちらを守るから」
というように、声を掛け合い、コミュニケーションをとらなくては、黙っていてはチームとして機能しないので試合に勝つことができないのです。
実際に、柳井グランドホテルで3月に行われた島根県の立正大学淞南高校と山口県の聖光高校のeスポーツエキシビションマッチでは、ヘッドセットを付けた1チーム3人のメンバーが盛んに声を掛け合っていました。
引きこもりの子の多くは元々デジタルが得意なので、自宅の部屋から外に出て学校に行き、eスポーツ部に入りコミュニケーション能力を身に付けてしまえば、世界のDX化の潮流の中で、経済産業省が2030年には45万人不足すると発表しているデジタル人材の即戦力になり得ます。
上記の理由から高齢者の方にもできればパソコンでeスポーツに挑戦していただき、お孫さんと一緒に遊ぶ際も、最初からパソコンでeスポーツをする環境を作ってさしあげて一緒にプレーするようになれば、素晴らしい未来の入口にお孫さんを導いてあげられるのではないかと私は思うのです。
まさにマタギスナイパーズ様の設立当初の目標は、
「孫にも一目置かれる存在になる」
設立から1年が経過して、目標は達成されたそうです(笑)。
私はこのマタギスナイパーズ様が持っているオーラ、勢い、チャレンジ精神を山口県にも拡げたいと願い、今回の企画を考えました。
当日は東京で一流アスリートのスポーツドクターとしてもご活躍中の脳神経外科医【朝本俊司先生】による講演とマタギスナイパーズへのインタビューも行い、医学的見地から解説をしていただきます。
すでに事前に話を聞きつけた方で席は埋まりましたが、どうしてもマタギスナイパーズの無料eスポーツ教室と朝本俊司先生の講演会に参加したいという方は、柳井グランドホテル公式ホームページの「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。その際、
あなた様の氏名 住所 電話番号 年齢 メールアドレス、そして
「10月30日のeスポーツ教室・講演会参加希望」とご入力ください(入力のないものは無効となります)。
※電話受付は一切いたしませんので予めご了承ください。すでに満席となっているのでお約束はできませんが、お席に空が出れば優先的にご案内させていただきます。
【高齢者対象 マタギスナイパーズ無料eスポーツ教室】
日 時:2022年10月30日(日)10:30~12:30
場 所:柳井グランドホテル 山口県柳井市中央2-2-22
※コロナ禍なので完全予約制
10:30 バリアフリー改装したお部屋でマタギスナイパーズがeスポーツ実演
10:55 東京で一流アスリートのスポーツドクターとしてもご活躍中の脳神経外科医【朝本俊司先生】による講演
11:30 マタギスナイパーズによるeスポーツ教室(マタギスナイパーズの監督・スタッフも参加します)
私は家庭用ゲーム機も家族で楽しむのは良いと思いますし、リズムゲームやパズルゲームは高齢者の認知症予防、健康寿命の延伸などに役立つと思っております。
eスポーツ事業を始めてからというもの、多くの報道関係者にゲームとeスポーツの違いを質問されました。
その質問に対する私なりの答えが今回述べてきたことです。
「これが正解」というものはないと思いますが、ご紹介した学生の事例は真実であり、私自身、現在52歳でこれからも自分の可能性を信じて自分の想いを企業経営を通して実践していくうえでデジタル機器を使いこなすことは必須と考えているので、マタギスナイパーズ様を見習ってパソコンでeスポーツをプレーしたいと思います。もちろん修行として取り組むのではなく心から楽しんで。
私が尊敬する方からこんなことを教えていただきました。
「老後に没頭できる趣味というのは、簡単に達成できないものを選ばなくてはならない」
今回は生意気なことを言いましたが、私が実際に多くの方と接して得た感想です。以上、柳井グランドホテルのeスポーツ事業の経過報告でした。
【追加報告】
熊本日日新聞創立80周年記念事業「eスポーツで描く地方の未来~POWER of eSPORTS~(熊本城ホール)」に松前がパネリストとして参加します。
片山善博氏(地域構想研究所所長・元総務大臣・元鳥取県知事)、堺谷陽平氏(富山県eスポーツ連合会長)による2つの基調講演とともに、eスポーツ×観光、eスポーツ×福祉、eスポーツ×教育、eスポーツ×まちづくりの4つのテーマでパネルディスカッションが行われます。
新聞社主催なのでWEBや紙面で全国発信されるようです。よろしければご覧ください。