以前食べ歩きについて書いた際に、私はいつもタクシーを使わずに歩いて移動していると言いましたが、歩きながら私は中古CD屋、古本屋巡りをするのが好きです。
大きなCD屋や本屋に行くのもいいですが、私は店主の感性に委ねるというのがとにかく好きなのです。品揃えが豊富であることだけが店の魅力ではないと私は思います。
先日も広島でいつものようにふらっと中古CD屋で目についたのがLED ZEPPELIN“HOW THE WEST WASWON”。伝説のライブアルバムというやつで3枚組18曲。ツェッペリンの代表曲のほとんどすべてが収められています。迷うことなく買い物カゴに入れて、他にもTHE BANDのライブアルバム“THE NIGHT THEYDROVE OLD DIXIE DOWN”とLOU REEDの“THEDEFINITIVE COLLECTION”も買いました。
これらのCDのアーティストを見ると、私と同年代の音楽好きの方なら私が何をしようとしているのかすぐにわかるはずです。
私は学生時代にできなかったことを実現しているのです。あの頃(高校時代)はちょうどレコード盤からCDへの移行期間でしたが、1枚がだいたい3,000円はしていました。
今より高いですよね。輸入版が普通のCDショップにも出回り始めて日本版も安くなり始めたのは私が大学生の頃だったと思います。
とにかく1枚3,000円もするレコードやCDはめったに買えるものではなかったので、友人達と貸し借りしてテープにダビングして聴いたものです。
最近のようにiPodで簡単に編集したり、アーティストやカテゴリー別にランダムに膨大な曲数を聴くということはできませんから、好きな曲を60分のテープに編集したものをテープがすり切れるほど聴いていました。
今となっては考えられませんが、あれはあれですごく楽しかったんですよね。好きなラジオ番組なんかも録音して繰り返し聴いたり、友達に貸したり、おそらく今の子供達はそんなことしないんでしょうね。
あの頃の『欲しいけど買えないな〜』を四十代半ばで実現しようとしている私が中古CD屋で購入するのは1枚1,000円前後のものばかりで、いつも一度に3,000円から5,000円分くらい買います。
居酒屋さんで躊躇せずにもう一品多く注文できるようになったのもつい最近のことで、Amazonで「この商品を買った人はこういう商品も買っています」という表示を見て、『ならこれも買うか!』とクリックするようになったのもそうです。
前回も書きましたが、『高級車に乗ろう!』とか『豪邸に住みたい!』などということにまったく関心がなく、車は知り合いから中古を安く譲ってもらったもので十分満足していて、家も親の代から住んでいるものを補修しながら長く住もうと考えている私にとっては、子供の教育費以外に大きな出費というものが基本ありません。
だから、本屋や居酒屋で『もう1,000円か2,000円使おうかな』というのは私にとってのささやかな自由であり、現在の私のレベルでも可能な贅沢なのです。
結局『手に入れられて幸せ』と感じることの設定をどのレベルにもっていくかというのがその人の自由度を決めているような気がします。
海外旅行、絵画、カメラ、ワイン、ゴルフ、ギャンブルなどが趣味となると予算も高額になるので、やはりそれなりの収入がないと無理なはずです。
私は釣りが好きなので仲の良い漁師さんにたまに連れて行ってもらいますが、自分で船を持ちたいとは考えません。そこまで好きではないんだろうし、持つとその時点で自由がなくなるような気がします。こんな考えだから釣りパックという商品を考えたのかもしれません。
ビジネスで大成功して欲しいものをすべて手に入れてしまうと、人はどうなるんでしょうかね?仕事後やオフの日に飲む一杯目の生ビールの美味しさ。私はこれに勝るものはないと思っていますが、すべて満たしてしまうとあの感動も味わえないような気がします。
歳を取るに連れて自由になることが増えるというのが自然であり、幸せなことであると思っている私は、子供にもパソコンやスマホを持たせる必要はなく、少々不便な状態で我慢するくらいがちょうどいいと思っています。
私はそれらを持たせないとうちの子だけが乗り遅れるなどとは考えません。むしろ持っていない方が縛られないので自由があり、子供の時にしかできないことに集中する時間ができるのでいいような気がするのです。 |